「同じフィードバックでもこの人に言われるとなんかすんなり聞けるな」ということはありませんか?
それ、もしかするとフィードバックしている人の伝え方がいいのかもしれません。
とある企業のWebデザイナー職の面接に行った時のこと。
面接官の方と一対一で制作物や事前に出されていた課題へのフィードバックをいただく機会があったのですが、採用担当の方のフィードバックがとてもよく、中には手厳しい意見もあったにも関わらず、無駄に落ち込むことなく素直に受け止めることができました。
出会って数十分の間柄、改善点をいくつも伝えられていたにも関わらず、です。
どうして自分自身がこんなに素直に聞けたのか?と疑問になり考えてみたのですが、これはひとえに、その方の伝え方がよかったからだと思います。
今回は実際にいただいたフィードバックのどこが良かったのかを思い出しながら、受け手が”よいフィードバック”と感じるフィードバック方法3点をご紹介します。
社内の教育担当などで新人に教える立場になった方、誰かにフィードバックを伝えなきゃいけない場面で伝え方に悩む方、もしくは最近フィードバックを受けたのだけどなんか納得できない(そのフィードバックに問題があったのでは?と感じている方)の参考になれば幸いです。
私が実際にいただいたフィードバック
私が実際に言ってもらったやりとりはこんな感じでした。
私:…という案を考えました。
ありがとうございます。質問なんですけど、ここってどういうことですか?
私:(うわああ〜〜そこ甘い作りだった・・)え、えっとA(提案する事柄)ということです。
ああ。なるほど〜。着眼点とてもいいと思います。ちなみにA(私が提案した事柄)で進めるとすると△△△△の場合ってどうなりますか・・?
私:あ、、、(詰まる)
あ、まだ改良されて行く段階なんですね!これとてもいいと思ったのですが、Aだと△△△△の場合に難しくなってしまうことが多いかなと思って。もしも行われるのであれば、こういう感じに変えたらもっといいかな?とか思ったのですがどうですか?
ちなみに、もう一個あげさせていただくと、今ご提案いただいたAではないんですけど、Bって方法もあるのかなと思いました。
私:な、なるほど・・・そこまでの発想ができておりませんでした・・・ありがとうございます。
いえいえ、先ほどの案、着眼点はとてもよかったので、もう少し多角的にみていただけるともっと磨けるかもしれないですね!
(↑最後にも褒められるところは褒めて、改善の糸口を見つけてからまとめることでフィードバック後の修正にスムーズに入れるようにする)
いかがでしょうか??このフィードバックさらっと読むだけでもう神ではないですか?
神フィードバッカーのお言葉を元に、ポイントを考えてみましょう。
成果をその都度、細かく褒めてくれた
やりとりで赤色のところが特にそうなのですが、こまかく褒めてくれました。
着眼点、考え方、まとめ方まであらゆる点を褒めてくださいました。
もちろん、出した意見が未熟な場合もありますし、そういった案を否定するのは簡単。
ですが、実際に課題に対して方法を考えるのは難しいものですし、結果としてはさほどよくないものでも、アプローチの方法や着眼点は間違っていなかったかもしれません。
自分がフィードバックを受ける立場だった場合、こまめに褒められるのと全部を見てから「うん、全体的にいいですね」と言われるのどちらの方がいいでしょうか?
「ここいいね、これいいね」ってこまかく褒められたほうがいいと思いませんか?
成果物を挟んで会話する時、お互いにどこか話をまとめて伝えようとしてしまうところがあるかもしれないのですが、こまめに伝える方が圧倒的にメリットがあると思います。
言われる側は小さな報酬が積み重なると、最後にマイナスの指摘を受けたとしても、褒められたという記憶が残るでしょう。
また、これは自論ですが、足りないところは伸ばしていけばいいだけだと思っているので、細やかに褒めてくれると、褒められた場所は今すぐに修正していくべきポイントではないなと判断ができ、伸ばすべき点の優先順位をつけやすくもなりますよね。
それに、たくさん褒めてくれる人の方が好感を持ちますし、相談がしやすくなると思います。なんでもいいから褒めろというわけではありませんが、良いと思った箇所はそのたびに伝えてあげるのがいいと思います。
批判的な意見は「質問ベース」で、「課題は提案ベースで」伝えてくれた
フィードバックの中で、受ける側が最も辛いなと感じてしまう瞬間は、マイナスな意見を伝えられたときだと思います。
特に、仕事の場でわざわざ時間を作って成果物を見せてくる場合、相手はある程度考え、形を作り、用意をして見せてきているはずです。もちろんブラッシュアップしたいという意図で2〜3割程度の完成度で見せてもらう場面もあるかもしれませんが、相手は意図や方向性など何かしらの考えは持っているはずです。
マイナスなフィードバックを伝えてくれたときにその方の手腕が光っていたのは、全て質問として伝えてくれたことです。
「この場合はこうだろう!」
なんて言われてしまった場合、言われた側は思考停止してしまいますよね。
でも、
「この場合はどうしますか?あの場合はどうですか?」
と課題を”指摘“ではなく”質問“された場合、「あ、この場合答えられない」「これでは甘い」など当事者意識を持って考えていけますよね。
マイナスなフィードバックはされて終わりではなく、大抵の場合はその後に修正が待ってます。せっかくのフィードバックを活かすためには、ただダメ出しされるよりも今後への方向性を見つけられた方が有益ですよね。
しかもこの方の質問ベースのマイナス点フィードバックでは、解決の糸口までを押し付けない言い回しで「自分だったらこう考える」と伝えてくださったことが印象的でした。
・私が出した提案で進んだ場合の課題を言うだけではなく、その解決方法まで共に考える姿勢で伝える
・そもそも出された案がまるごとよくなかったとしても、「やり直し」ではなく、「あくまで自分個人の意見だとこういう方向で考えていくかもしれない」という道筋を伝える
簡単なようですが非常に難しい言い回しだなと、お話を聞きながら感動していました。
フィードバックを受ける側からの話を全面的に聞いてくれた
フィードバックに限らず、コミュニケーションの上では当たり前ではあるけれど、人の話を遮らないは気をつけたいこと。
とはいえ、フィードバックを受ける相手が未熟な相手の意見を全部一回聞くって時間の無駄に感じる人もいるのではないでしょうか?
フィードバックをする側は導いてくれる立場です。
自分が実際にフィードバックをしてくださった採用担当の方は、成果物だけではなく、その過程や、製作者の思いなどを遮らずに聞き取ってくれました。自分の思考の運びや、なにを課題に感じてこの段階の成果物を出したのか。そこを理解したうえで話してくださるからかなり中味のあるアドバイスになっているのだろうなと感じました。
話す側からしても、なんでも聞いてもらえる相手であれば話しやすく、情報を出しやすいと思います。
「こんなこと言ったらいけないのではないか」
と思ったことや
「細かい気づきではあるけれど、言わなくてもいいか」
そんな小さなことを思い切って伝えてみたら、それがきっかけでアイデアの方向が決まることもありますよね。
どんな意見でも聞いてみる。簡単なようで難しいですが、心がけたいポイントですね。
以上が、自分がフィードバックを受けてとても参考になったフィードバックでした。
1.成果をその都度、細かく褒めてくれた
2.批判的な意見は「質問ベース」で、「課題は提案ベースで」伝えてくれた
3.フィードバックを受ける側からの話を全面的に聞いてくれた
どれも心がけひとつで変えていける事柄だと思うので、フィードバックをする機会のある方はぜひ頭の隅に入れてみてください。
良い成果は揉んで揉まれて考えぬいた先にあるものだと思います。いフィードバックを有意義な時間にして成果を出しましょう!